広瀬香美のベストアルバム、どれを聴けばいい?!

冬といえば広瀬香美さん。自他ともに認める冬の女王様。今年はYouTuberとしても、歌ってみた動画のパフォーマンスや言動で話題となりました。

海外で冬、というかクリスマスシーズンに強いのはなんといってもマライア・キャリーの『恋人たちのクリスマス』。海外の音楽ランキングのビルボードチャートでは、ここ数年、実売数よりもストリーミング回数を重視しています。この時期はSpotifyなどで恋人たちのクリスマスが何千万回も再生されるんですね。その結果、なんと2019年から2020年にかけて、3週連続でビルボードNo.1を記録しました。すごい!

日本でもストリーミング回数がもっと重視されるようになれば、『ロマンスの神様』がオリコン1位になるかもしれませんね。

 

さて、何十年とキャリアがあるアーティストは、ベスト盤もかなりの枚数をリリースしていることがよくあります。

1992年デビューの広瀬香美も(以下敬称略)ウィキペディアによると8枚もベストアルバムがあります。いったいどのベスト盤を聴くのがいいのでしょう。

一番売れたベストアルバム?現時点で最新のベストアルバム?

 

これを聴けば間違いなし!の、広瀬香美ベストオブベストアルバムをご紹介します!

 

まずはリリース順に見ていきましょう。

 

1枚目『広瀬香美 THE BEST "Love Winters"』

1998年に発売された、広瀬香美初めてのベストアルバム。『ロマンスの神様』『ゲレンデがとけるほど恋したい』『promise』の広瀬香美3大ヒット曲がしっかり収録されています。内容としてはシングル曲と提供曲のセルフカバー、そして新曲の計12曲入り。ダブルミリオンを売り上げ、広瀬香美のアルバム最大のヒットとなりました。ちなみに、松任谷由実の2枚組ベストアルバム『Neue Musik』に阻まれ、オリコン最高位は2位。

冬をコンセプトにしているので、発売時期が初夏や夏である3枚のシングル曲は選曲されていません。中でも「ドラマティックに恋して」はドラマ主題歌で最高位4位と知名度売り上げともに高い楽曲でしたが収録されませんでした。

今でもテレビ番組でよく歌われる歌たちは、すべてこのベスト盤に収録されています。広瀬香美のスタンダードを手っ取り早く聴きたいのならこちらがおすすめ。

 

2枚目『広瀬香美 THE BEST Love Winters〜ballads』

2001年発売のバラードベストアルバム。1997年ごろからベストアルバムブームが続いていて(いずれこのあたりのことも書きたいと思います)、2000年ごろからバラードベストが流行り始めたんですね。promiseのボッサヴァージョンや、『Ave Maria』のカヴァーなど、このバラードベストでしか聴けない曲もあります。私が広瀬香美のシングル曲で1番好きな『Search-Light』が初収録されたアルバムでもあります。

1枚目と2枚目のベストアルバムは、2004年に2枚組の廉価盤として再リリースされたりもしました。

 

3枚目『Alpen Best Kohmi Hirose』

4枚目『タイアップコレクション〜広瀬香美のテレビで聴いたあの曲達〜』

アルペンのCMソングを集めたベスト盤と、アルペンとそれ以外のタイアップ曲を集めた企画ベスト盤です。ちょっと物足りなく感じてしまいます。

 

5枚目『SINGLE COLLECTION』

2011年発売の、初のシングルコレクションでオールタイムベスト。こちらのベスト盤が1番オススメです。この時点での全シングル曲が網羅されています。リリース順に並んでいて、改めて広瀬香美の作曲家としての凄みを堪能できる内容となっております。

個人的には『ストロボ』や、売上的にはピークを過ぎた後の『恋のベスト10』から『月の下で逢いましょう』までの曲が好きですね。『Velvet』をミュージックステーションで初披露した際、「初めてサビで振り付けに挑戦した曲です」と紹介されたことをなぜか今でも覚えています。『日付変更線』は約3年ぶりの新曲で、このあたりから発声方法を変えていますね。新曲の『フリーダム』もすごいメロディと歌詞です。

このベストアルバムさえ持っていれば、毎年冬が来るたびに慌てて広瀬香美のCDを探しに右往左往しなくて済みますね!

ただ、2つほど少し残念な点を挙げると、『DEAR...again』がシングルバージョンであること。シングルコレクションなんだから当たり前と言えば当たり前なのですが。(と言っても、シングルコレクションと銘打っていてもなぜかアルバムバージョンで収録されているベストアルバムはけっこうあります・・・)この曲には『DEAR...again (Ver.2.05) 』というバージョンがありまして、ボーカルが別テイクだったりコーラスが足されていたりけっこう違いがあるんですね。このバージョンのヴォーカルの方が断然いいんです。

もう一つ、シングルコレクションなので、シングルが収録されていないオリジナルアルバムの曲がスルーされてしまっている点です。『冬のモチベーション』という曲はアルペンCMソングで『making my life better』というアルバムのリード曲です。これが収録されていれば完璧でした。ちなみに4枚目のベストアルバムには収録されています。

またこのアルバムには『ロマンスの神様~弾き歌いVersion~』も収録されていて、2008年リリースなのですが、当時からすでに今のYouTubeでの引き語りスタイルが確立されていることが分かります。やっと時代が広瀬香美に追いついた、という感じです笑

 

広瀬香美はこの後も3枚ベスト盤をリリースしていまして、内容は代表曲に新曲を2曲くらい収録するパターンで、ほとんど『SINGLE COLLECTION』とかぶっているんですよね。なので、新しく追加された曲をチェックすればいいと思います。この新曲が侮れないんですよ。まだまだいい曲書くな~と感心してしまいます。

例えば2019年発売の7枚目のベスト盤『THE BEST "1992-2018" + "雪"Setlist Non-Stop Mix』はオールタイムベストなのですが、2011年から8年経っているのに、シングル曲は『SINGLE COLLECTION』の内容と全く同じです。実は8年の間に配信シングルで『ストレートに好きと言おう』という曲がリリースされていて、おなじみのアルペンCMソングなのですが、なぜかこのベスト盤には収録されず、現時点でどのアルバムにも未収録となっています。『DEAR...again』は (Ver.2.05) で収録されていますので、手元に置くならこちらのほうがいいかもしれません。

 

現時点での最新ベストアルバムの『WINTER TOUR 2020 "SING" + Live at Blue Note Tokyo』は、発売後に行われたツアーのセットリストをそのまま収録した“予習盤”ともいえる面白い趣向のアルバムでした。

 

 

広瀬香美さんのことは大好きで、ここ15年くらいの間に発売されたオリジナルアルバムはすべて発売日に買っているガチ勢です笑

なので長々と語ってしまいました。これからの香美さんのますますのご活躍を応援しています!

ベストアルバムとは?

10年前に開設だけしたブログを発見した。

数年前から、ベストアルバムについていろんなことを書きたいと思っていたのだが、

このブログのIDがMoonDiskだったので、音楽について書くにはピッタリじゃないか。

MoonDiskは1997年発売の『MOON』というゲームからいただいたものだ。

発売当時から大好きなゲームで、長らく知る人ぞ知るゲームだったのが、

昨年Switchに移植され話題になった。22年の時を経ての奇跡だった。

こんな時代が来るとは思っていなかった。

私も十数年ぶりにMOONをプレイすることができた。

 

時代は変わっていく。

ベスト盤ブログ構想は何年も頭の中にだけあったのだが、

CDはどんどん売れなくなり、サブスクやYouTubeが主流となり、

“アルバム”というパッケージではなく、”プレイリスト”という聴き方がメインとなった。

好きな曲を好きなだけ聴くことができる。

この”好きなだけ”とは、サブスクのキャッチコピーにあるような何千万曲聴き放題という意味と、”好きな量だけ””好きな曲数だけ”というニュアンスも含んでいる。

つまり、あるアーティストの新曲や往年の大ヒット曲を聴きたいと思った時、オリジナルアルバムやベスト盤をまるごと1枚買ったりレンタルしたりダウンロードしたりするのではなく、その聴きたい1曲だけサブスクやYouTubeで聴けばいいのである。

さらに、既存のベスト盤を買わなくても、自分だけの、自分好みの選曲のプレイリストを作成すれば、そのアーティストのマイベストの完成だ。

サブスク時代に、ベストアルバムについて語るブログを始めるのは、遅すぎるかもしれない。いや、実際遅かったと自分でも痛感している。

ではどうして今、ベスト盤ブログなのか。

 

だって、好きなんだもん、ベストアルバムが。

 

昔からベストアルバムが好きだった。

どうしてこんなにもベストアルバムに私は心惹かれるのだろう。だれか教えてほしい。気づいたらベストアルバムについて一家言持つ人間になっていた。なんの業(ごう)だろうか。

 

アーティストにとっては、ベストアルバムは一つの到達点、集大成的なものであるはずだ。しかしそれは諸刃の剣でもある。ベストアルバムを出すことは必ずしも良いことばかりではないのである。どういう意味かは今後いろんなところで触れていきたい。

 

さてここで、私が考える、ベスト盤の定義をご紹介させていただきたい。

 

1:シングル曲中心である。

2:代表曲やアルバムのリード曲、タイアップ曲などが網羅されている。

3:アーティストのキャリアに応じたボリュームである。

4:何周年記念など、節目に合わせて企画、発売される。

 

これらを満たしているベスト盤は、優れたベスト盤の誉れも高く、逆にそうでないものは「なんで出したのこれ」と非難されてしまうのである。私に。

 

1つ具体例を挙げてみよう。

栄えある第1回目のベスト盤ブログで取り上げる1枚は、上記の条件をすべて満たしている。

 

チャットモンチーチャットモンチー BEST 2005~2011』

 

チャットモンチーが2012年にリリースした、初のベストアルバムである。

1~4の定義に合わせて一つひとつ確認していこう。

 

1:シングル曲中心である。

まず、それまでのシングル曲がすべて収録されている点が素晴らしい。正確に言うと、このベスト盤の発売前に2枚立て続けにシングル曲がリリースされていて、それは入っていないのだが、それは4番目の定義のところで説明したい。

 

2:代表曲やアルバムのリード曲、タイアップ曲などが網羅されている。

このベストアルバムの選曲はとてもシンプルでいてマスト。全シングル曲に加え、4枚のオリジナルアルバム、2枚のミニアルバムから1曲ずつ選曲されているのだが、それがすべてアルバムのリード曲なのである。アルバムのリード曲とは、アルバムリリース時にラジオ局などで先行オンエアされたり、プロモーションでテレビ番組で歌唱する際にチョイスされる、いわばそのアルバムの名刺代わりの曲のことを指している。

なんという清々しい選曲だろうか。文字通り代表曲を詰め込んだことになっている。これが例えばオリジナルアルバムの隠れた名曲や、シングルのカップリングの知る人ぞ知る曲なんかをセレクトした場合、そこに正解というものはない。曲に対する思い入れの深さは人それぞれだし、「なんでこの曲が入って、あの曲が入ってないの!?」という議論も巻き起こってしまう。しかし、シングル曲とアルバムのリード曲のみに統一することで、それを回避している。個人的にはこの曲も入れてほしかったけど、まあ妥当な選曲だよな、とコアなファンも納得せざるを得ない。

また、単にシングル曲を網羅したシングルコレクションだと、チャットモンチーの場合、4thアルバムとミニアルバムにはシングル曲が入っていないので、そのアルバムから1曲も収録されないということが起こってしまう。

私がシングル曲で一番好きなのは『染まるよ』。いつ聴いても完璧な曲だと思う。

『ここだけの話』はシングル曲ではないのだが、ミニアルバムのリード曲でアニメ主題歌としても耳なじみがあった。ベスト盤に収録されてとても嬉しかった。

 

3:アーティストのキャリアに応じたボリュームである。

4:何周年記念など、節目に合わせて企画、発売される。

3と4を合わせてみていこう。まず3であるが、チャットモンチーがメジャーデビューしてからの7年間が1枚にまとめている。7年くらいが、1枚としてまとめられるギリギリの線ではないかと考えられる。10年になると2枚組も珍しくない。1枚にまとまっているという点でもマルである。

逆に、7年間でベストアルバムというのは中途半端な時期じゃないか?と思われるかもしれない。3ピースガールズロックバンドだった彼女らであるが、メンバーの脱退があったのである。それに合わせて、3ピース時代の一区切りとして発売されたという経緯があるのだ。

なので、ベスト盤の直前にリリースされた2枚のシングルは収録されていない。それらは2人体制になってからの楽曲であるからだ。ベスト盤発売の経緯もタイミングも申し分ない。これほど完成度の高い洗練されたベストアルバムは珍しいだろう。

 

なお、チャットモンチーは2018年に活動を完結しており、最後の集大成として2枚組のベストアルバムをリリースしている。その収録曲もまた素晴らしい。オフィシャルサイトの説明文を引用させていただくと、

 

―13年間のキャリアを網羅するオールタイム音源ベスト。全シングル表題曲(オリジナル曲のみ)+アルバムリード曲を網羅した、珠玉の全35曲を全曲リマスタリングで収録。―

 

こちらもまた、全シングル曲とアルバムリード曲で構成されているのである。見事、と称賛を送りたい。チャットモンチーは2人体制になってからも『majority blues』などの名曲がたくさんあるし、初ベストの収録曲はすべてもれなく入っているので、一家に一枚、手元に置いておきたい一生ものとしてはこちらをチョイスしたい。

 

 

思いのほか長くなってしまいましたが、こんな感じで、これからベストアルバムについて語っていきたいと思っております。

 

どうぞよろしくお願い申し上げます。